庄司薫 「さよなら怪傑黒頭巾」
芥川賞を受賞した「赤頭巾ちゃん気をつけて」の続編かと思われる。
主人公は、著者の分身のような都立日比谷高校を卒業した浪人生だ。
わずか一日を間に挟んだ前夜、その翌朝までの出来事を題材に、これほどの長い作品を書ける力量に感心させられる。
かけがえのない青春時代に、どう生きるか真剣に考え悩む主人公の姿には、学ぶべき点があったはず。今頃気づいても時すでに遅し。あの頃、いったいこの自分は何をしていたのか。
最初にこれを読んだ時、共感はしなかったのだろうか。何かを吸収しようという意欲に欠けていた。話題になっていたから読んでみただけのような気がする。
土地柄、家庭環境、交友範囲など境遇や立場が違いすぎる。人は人、自分は自分・・・その考え方、変わってないな。
そして、今の自分がここにある。
書棚に並べておくのが気恥ずかしい。