渡辺淳一「阿寒に果つ」の主人公である純子の呪縛から一刻も早く逃れたかった。魔性の少女、恐るべし。
そこで選んだのは・・・
舞台は明治時代の東京である。無縁坂、神田明神、上野広小路など全くなじみがなく、想像力を働かせながら読んだ。東京大学の赤門、不忍池の記憶もおぼろげになっている。
ネタばれを避けるため、以下感想のみ。
読むほどに、明治時代の香りが濃厚に漂ってくる。当時の大学生の教養の高さ、それに比べて・・・と言いたくなる。
男尊女卑の風潮を助長させそうな、今の世なら受け入れ難い作品だろう。お玉のような女性はもはや令和の時代には存在しない。
何故表題が「雁」なのか、最後にわかる。