7月某日
宮古島での最後の晩餐は、ゲストハウス1階の共用ダイニングエリアを利用する。
近くの食料品店で酒の肴を調達してきた。
アイゴという魚は初めてだ。1パック千円は高いように見えたが、薄く切ってあるお刺身がぎっしりと重ねられ、これでもか、というほどの分量だった。淡白な白身魚で歯ごたえがある。
野菜とモズクの天ぷらとで満腹となり、これだけ腹に収めれば二日酔いは免れよう。
ゴーヤの浅漬けは前々日の手作りである。
場所を変えて2階のバルコニーで2次会を催す。オーナーから高級ウヰスキィの差入れがあり、お礼に泡盛を提供する。
青かった空がしだいに黄昏色に染まり、焼け付くような暑さが和らいできた。
長かった一日がゆっくりと暮れてゆく。
旅の終わりが近付いた。
またいつか来よう。
自称さすらい人にとっては、自宅滞在は人生という果てしない旅路におけるトランジットに過ぎない。
前回の旅の余韻に浸り、次回の旅の構想を思いめぐらすのも、旅の一部を構成し、贅沢な気分を味わえるというものだ。