夏が来れば思い出す。
尾瀬ではなく、夏休みの宿題だ。苦労したのが課題図書の読書感想文だった。
文学の研究者や評論家ではないのだから、難しく考えずに素直に感想だけを書けばよかった。
木崎さと子「青桐」 (文藝春秋1985年3月号所収)
芥川賞受賞作である。最初に読んだ時の感想が浮かんでこない。途中で投げ出したのかもしれぬ。
感想を述べるには荷が重い。長時間読み続けると気疲れがして、細切れの読書になった。
巧みな情景描写と心理描写が作者の力量を感じさせる。凡人の書く文章とは雲泥の差がある。
読む前に青桐という木を古民家のような場所で観察する機会があるとよかった。