現役時代、しばしば名古屋・大曽根の居酒屋「たから屋」に寄り道をした。レバーの刺身が目当てだった。胡麻油で味付けをし、うずらの生卵ときざみ葱が添えてあった。
日本酒の熱燗を頼むと、ちろりと枡で供された。銘柄は「金泉(きんせん)」で、先日、遠見山の帰りに立ち寄った岐阜県川辺町の平和錦酒造は、その「金泉」の醸造元である。
今も変わらぬ素朴な味わいが特徴だ。洗練された吟醸酒とは対極とも言える野性味を感じる。
川魚の塩焼きか野沢菜漬けを肴に、木曽路か安曇野の古民家の囲炉裏端で飲んでみたくなる。
かつての酒呑み仲間たちと再会できたような気分にさせてくれる酒だ。じっくりと味わおう。