行方知らずのさすらい暮らし

自称「さすらい人」が書き綴る気ままな日々の暮らし

読書感想 その4

花粉の大量飛散が始まった。不本意ながら引きこもりの暮らしが続く。こんな時こそ本を読もう。

 

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大江健三郎 「遅れてきた青年」

若い時に読んだ。内容はすっかり忘れている。大江健三郎という作家に対して、屈折したような苦手意識を持ったことだけは覚えている。

長編小説は一気呵成に読破した方がいい、と意気込んで再読を試みたが、難解な文章のため少し読んではひと休み、の繰り返しになった。

 

さすがノーベル文学賞作家、心理描写や情景描写、比喩の巧妙であることは認めざるを得ない。

主人公である青年を始め、登場人物には誰一人として共感はできなかった。ただ嫌悪感のみ。近くに居たら直ちに逃げ出したくなっただろう。

1940年代から1960年代にかけての世相が手に取るように伝わってきた。この点では有益だった。

これらが率直な感想だ。

 

蛇足ながら、青少年諸君にはお奨めできない。健全育成の観点からは有害図書とさえ言いたい。