(承前)
長坂山を反時計回りで登ると、赤目四十八滝の百畳岩付近へ下ることになる。
最終バスの発車時刻とバス停までの所要時間を考慮し、荷担(にない)滝まで遡ることにした。
渓流沿いに滝を眺めながら歩けば、さぞ涼しかろうと期待したが、甘かった。
無風状態のため、一向に汗が引かない。冷たい水しぶきを浴びるには、落差の大きい滝の滝壺へ近付く必要があるが、水深があって危険を伴う。
視覚と聴覚からもたらされる涼しさだけでは、どうにも物足らぬ。
汗だくのまま引き返すのはつらい。何のための納涼ハイキングだったのか。腰を下ろせる水辺を探し、靴と靴下を脱いで火照った足を水浴させる。やっと目的がかなった。
服を脱いで大胆な水着姿になったお姉さんたちが、滝壺へ向かおうとしていた。滝に打たれるつもりか。監視員に注意されて岸に上がったが、その度胸には感心させられた。
イワタバコの花