自分の頬を思い切りひっぱたく。喝を入れるためだ。
夕刊を取りに行き、どこに置いたのか思い出せなくなった。いつもと違う場所へ何の気なしに置いたからだ。
いくら探しも見当たらない。
家内に、どこかで見なかったか聞いてみた。
「知らない」と言う。当然だろう。食事の支度で夕刊を読むのは後回しだ。
しばらくして隣の部屋に入り「あった」と持ってきた。
恐るべきはその嗅覚。警察犬並みだ。
外出先で日帰り温泉施設に立ち寄り、石鹸(soap)の香りを漂わせて帰宅するのは考え物だ。誤解を招く。
つい先ほどのことを忘れるようでは、「ボケが始まったか」と疑われかねない。
でもこの言葉は、お互いに禁句である。
物の置き場所はきちんと決めておこう。