大編成のオーケストラを従えてコンサートホールにピアノを響かせる。気分いいだろうな。
ピアニストなら誰もがそう思うだろう。私にはかなわぬ夢なので、もっぱら聴きながらの疑似体験だ。
ブラームスが尊敬していたベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」と双璧をなす名曲だと思う。壮麗無比、威風堂々たる交響曲にピアノが加わったようにも聞こえる。オーケストラを伴奏にするというよりは、その楽団員のごとく一体化している。これが私のお気に入りとする協奏曲のスタイルだ。
若書きとはいえ、のちの交響曲第1番を髣髴とさせる。第1楽章冒頭のただならぬ緊迫感がいい。是非生演奏で聴きたい。
1972年録音のギレリス(Pf)ヨッフム指揮ベルリンフィルハーモニーを始め、名演奏が目白押し、選択に困るほどだ。