缶ビールはグラスに移してから飲む。長年の鉄則だ。
缶の金属臭がビールの香りを損ねるというのが、その理由だ。琥珀色が視覚に訴える効果も大切にしたい。
同じ缶入りでも酎ハイ、ジュース、コーヒーならその心配はないのに、不思議なことだと思っていた。ビールの香りや味と、ビールに対する自分の嗅覚、味覚がデリケートなのだろう。
グラスを用意できないことから、外出先での缶ビールは避けるようにしていた。ところが・・・
これはおいしく飲める。
場所や時間、気象条件、心理状態など諸々の要因がプラスに作用したのかもしれないが、プレミアム価格の商品に匹敵する香りの良さが、金属臭を感じさせない。
帰り道の足取りがずいぶんと軽くなった。